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「青じそ加工研究会」vol.1農商工連携で豊橋の特産品「青じそ」を活かした商品開発で 地域ブランドづくりに取り組む。
2011.07.18 更新

地域ブランドと聞いてまず思い浮かぶのは、松坂牛や蒲郡みかん、常滑焼や下呂温泉など、
地域名と商品・サービス名が結びついたものではないでしょうか。
しかし、近年、こうした地域の特産品や特性を見直し
「新しい地域ブランドをつくろう!」という動きが盛んになってきました。
さらなる価値を生み出し、地域経済の活性化にもつながる、その取り組みをご紹介いたします。

世界に誇るジャパンブランドをめざして

豊橋地域は青じそ(大葉)の生産額日本一。
全国シェアの5割以上を占めていますが、その用途は刺身のツマや料理の薬味などかなり限定的です。
こうした生鮮野菜としての取り扱いはサイズが決まっており、規格外の青じそが出てしまいます。
しかし捨てるのはもったいない、何とか有効利用することはできないものかと
立ち上がったのが、「青じそ加工研究会」です。
構成メンバーは、青じそを生産する農業者、青じそをペースト状や粉末に加工する食材加工業者、
そして青じそ製品をつくる食品メーカー。
2007年に設立され、食農産業クラスター推進協議会を中核とした地元自治体、
大学や研究機関などのバックアップを得て、地域ぐるみで青じそを使った新商品の開発を進めています。

ふるさと農林水産フェアに出展・試食販売(2009.11.20〜23)

商品開発は「一業種一社」が基本

「青じそ加工研修会」に参加できる食品メーカーは「一業種一社」が基本です。
これはライバル意識が働く同業者同士ではしにくい情報や技術交流で相乗効果を引き出すため。
食品フェアや試食調査などにも全員参加し、協力して取り組むことで相互理解が深まります。
商品開発にあたっては月一回会議を開き、各食品メーカーが持ち寄った試作品を
出席したメンバー全員で試食し、感想を述べ合います。
その場はまさに真剣勝負、歯に衣着せない意見が飛び交います。
各食品メーカーは、そこで出た意見を元に試作品をブラッシュアップし、
外部での試食審査会を経て完成品に仕上げていきます。
また地産地消の観点から、青じそ以外にも、原材料はできる限り地元産を使うことが求められます。
こうした厳しい諸条件をクリアした開発商品は、
豆腐、蕎麦、餃子、練物、酒など、すでに23品を数えています。

東京幕張メッセで開催されたFOODEX JAPAN 2010に出展(2010.3)

粘り強く培った農家との友好な連携

5年目を迎え、軌道に乗ってきた「青じそ加工研究会」ですが、
ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
コーディネーターとしてメンバーの仲介役となり研究会を牽引する
食農産業クラスター推進協議会のクラスターマネジャー、横山順子さんは
「農家と食品メーカーが力と心を合わせて、
地域ならでは強みを活かしホンモノをめざすことは大変な時間と努力を必要とします」と語ります。
現在、研究会に所属する豊橋温室園芸農業協同組合の大葉部会は110農家。
「最初は話しを聞いてもらうだけで一苦労でした」とか。
農家と食品メーカーが一丸となって商品開発に取り組むことの意味を説明したり、
女性部会で試食説明会を催し、青じそ食品は美味しさだけでなく青じその安全性を伝えることになるなど、
粘り強く時間をかけて交流をはかることで友好な信頼関係を築いてきました。

(左)食農産業クラスター推進協議会のクラスターマネジャー、横山順子さん
(右)青じそのキャラクターは、大人可愛いと女性に大人気。(意匠登録出願中)

試食調査で消費者の声を反映

研究会では試食調査やテストマーケティングに力を入れていますが、
スタート当時に行った試食アンケート調査では、こんな出来事があったといいます。
それは、青じそ入りのパンを試食しようとした子どもの手を
「農薬が入っているから食べちゃだめ!」と、お母さんが払いのけたというもの。
もちろん、青じそは極力農薬を使わずに栽培された安全なものですが、
消費者の誤った先入観と安全指向の高さを改めて思い知らされたそうです。
しかし、こうした消費者の反応に直に触れることで、
農家の意識も高まり、病気に強い新品種の活用や、減農薬栽培の徹底につながっています。
また、食品メーカーと農家が各々の生産現場を視察することで、
農家は青じそ加工商品が自分たちの利益拡大に直結していること、
食品メーカーは安全・安心な青じそを栽培するための大変さを知り、
互いに運命共同体であるという認識を共有することができるようになりました。

東京で600名、豊橋で400名、合わせて1,000人の試食アンケートを実施。
商品説明と試食を丁寧に行い正確なデータ収集を心がけた。
豊橋での試食会は、各商品を開発した企業が商品説明をしてから試食を行い、
青じその風味、食感、味のバランスなどの感想と、容量や価格、購入に対する要望を聞いた。

豊橋温室園芸農業協同組合・大葉部会での圃場視察勉強会。
病害虫の兆しがあるものは色リボンを付け観察し、早期に手当てをする。
影響が広がると判断すれば抜いて廃棄し、農薬を使わないように努力。

寺部食品での視察勉強会。
地産地消や手づくりへのこだわりが寺部食品の個性であり、それを大切にして商品にしている。
という言葉に一同感激!

薬草としてのルーツをもつ青じそパワー

昔は薬草として利用されてきた青じそは、食中毒予防になる強い抗菌&防腐力があることが知られています。
また、花粉症やアレルギー症状を和らげる「ロズマリン酸」、痴呆症のリスクを下げる「葉酸」、
血管からメタボリックを改善するとされる「αリノレン酸」など、
世界各国で機能成分の研究が進められており、健康にも役立つ食品という新たな役割も期待されています。
「各社がモノづくりに対して目的と自覚を持って連携し、この研究会の取り組みを磨き上げていくことで、
持続可能な地域のホンモノづくりを進められればと思います」と横山さん。
これからも、世界に誇るジャパンブランドをめざす「青じそ加工研究会」の取り組みは続きます。

サイエンス・クリエイト20周年祝賀会事業(2010.10)で
祝賀会メニューを青じそ商品だけで構成し大絶賛を受けた研究会メンバー

■次回は、青じそ入りのちくわ、かまぼこを商品化した「ヤマサちくわ株式会社」を紹介いたします。

事務局情報

事務局名 食農産業クラスター推進協議会 青じそ加工研究会事務局
住所 〒441-8113
愛知県豊橋市西幸町字浜池333-9(株式会社サイエンス・クリエイト内)
TEL/FAX TEL:0532-44-1111
FAX:0532-44-1122
※電話番号は株式会社サイエンス・クリエイトと共通のため、
問い合わせの際には「青じそ研究会担当者」を呼び出してください。
また、FAX番号についても同様です。
URL 青じそ加工研究会|食農産業クラスター

2011年6月10日現在の情報になります。

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