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【工芸特集】桶づくりに伝統の技が息づく「水谷桶製造店」
2011.04.14 更新

木曽の銘木と名古屋の桶づくり

かつては堀川沿いに材木問屋が多く並び、木曽の木材と優れた技術に支えられ、
名古屋では桶づくりが盛んだったと言います。
昭和初期頃には200軒以上あった桶製造の店も激減。
木桶や木樽の製造販売を手がける数少ない店の一つが水谷桶製造店です。
木の香り漂う店内には、木桶がずらり並んでいます。
寿司桶をはじめ、おひつや手桶、花桶など、様々な注文に応えて、製品が作られています。

桶の製造と販売を手がける水谷桶製造店

寿司桶をはじめ、各種の桶製品が並ぶ店内

サワラは寿司桶に適した素材

寿司桶やおひつに使うのは木曽のサワラ。
「サワラは適度に水分を吸うので、ごはん入れておくにはぴったりですね」とこの道17年の水谷勝巳さん。
柔らかく加工がしやすく、仕上がりがきれいなこともサワラが
寿司桶やおひつに向いている理由の一つだと言います。
サワラは徳川時代に木曽の森林を守るために尾張藩が伐採を禁じた
5種類の木曽五木(ヒノキ、サワラ、マキ、アスナロ、ネズコ)の一つです。
保護の甲斐があって、現代でもそれらの良質な木材が産出されています。

(左)一定のリズムでカンナをかける水谷さん (右)桶に使うサワラの木

職人技が光る手づくりの桶

桶の側面は外側に丸みをつけた小さな木片がつながってできています。
一つひとつ大きさが微妙に異なる木片が寸分のくるいもなく合わさって輪になった状態は
「すばらしい」のひと言に尽きます。
「木片同士が接する部分を専門用語では“正直”と呼んでいますが、
ぴったり合うようにカンナをかけて調整していくんです」。
側面になる木片をのりでつなげ仮輪をして天日干し。
その後、内側と外側を削ってタガをはめますが、
タガが大きすぎれば下にはずれて底板もゆるみ、小さければ桶に深くキズがついてしまいます。
側面ができたら底板を入れる溝を掘り、底板をはめ、
下の小口、上の小口の順に仕上げをしてできあがりです。
このように桶が完成するまでには、すべての工程に熟練の技と長年の経験が必要とされます。

(左)カンナをかけて内側をなめらかにします (右)仮輪をはずして外側を仕上げます

(左)タガがはまった状態の桶 (右)バリと呼ばれる底板の溝を掘る作業

底板を入れる前の桶を手にする水谷さん

編集員のココがオススメ!

炊飯ジャーにご飯を入れておいて黄色くなったり、蓋をしめておいて水滴でべちょべちょになったりといった経験はありませんか。サワラのおひつなら適度に水分を吸って、ご飯が美味しくいただけるのでおすすめです。使う前にはお湯をいっぱい入れ、酢を50CC程度加えてしばらく置き、さめてから湯を捨てます。こうすることで木のアクや臭いがとれるのだそう。

(田中マリ子)

店舗情報

会社名 水谷桶製造店
住所 〒464-0856 名古屋市瑞穂区新開町3-1
アクセス 名鉄線神宮前駅から徒歩約8分 
営業時間 平日8:00〜18:00
土曜日14:00〜18:00
定休日 日曜・祝日
TEL/FAX TEL:052-881-7816
FAX:052-881-7854
URL 水谷桶製造店

2011年3月17日現在の情報になります。



 

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