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【工芸特集】新しいものづくりへの挑戦と共に伝統の継承に力を注ぐ 美濃手漉き和紙「家田紙工株式会社」
2011.03.14 更新

岐阜県の伝統的な産業でもある紙と木の組み合わせが特徴の「Lantern A6」

1300年程前より現代もその技法が受け継がれ、
昔ながらの手作業により1枚1枚丁寧に漉きあげられる「美濃手漉き和紙」。
その薄さと強靭さ、そして品質の高さは日本でも最高の質を誇っています。

今回訪れたのは、創業約120年、岐阜市今町で美濃手漉き和紙の伝統と技術を受継ぎ、
提灯用紙(和紙)の加工販売や、和紙を主体とした企画商品の製造・販売を行う「家田紙工株式会社」。
代表を務める家田学さんに、現在の事業展開や美濃手漉き和紙への想いを語って頂きました。

オリジナルブランド「1/100 Brand」の立ち上げ

「家田紙工株式会社」は、提灯用和紙の卸、お盆提灯の絵付けなどを行う事業から会社をスタート。
当時は、BtoB(企業間取引)で日本中の提灯屋さんをお客さんにしていました。
2003年頃からは「一般の消費者に向けた和紙の商品を作る」というコンセプトの元、
オリジナルブランドである「1/100 Brand」を立ち上げ、
「美濃手漉き和紙」の透明度を活かした美しい「水うちわ」や、
提灯や行灯といった商品の開発・販売を行う事業にも力を入れています。

「『美濃手漉き和紙』は、特徴がないのが特徴。
フラットで厚みのムラがない、キレイな品質の和紙なんです。
多いときには150回も色を重ねて付けるという絵付け加工が中心なので、
特に厚みが均一でシンプルな紙が求められました。」と家田さん。
地元の美濃の楮(こうぞ)や那須の楮(こうぞ)を原料としており、処理に薬品など一切使用していません。
障子や写経用紙、掛け軸の裏打ちの紙等、ムラを嫌うところに使われることも多いのだそうです。

手漉き和紙を製造する風景。

紙を乾燥する行程は、木の板に一枚ずつ漉いた和紙を貼って天日干しするという昔ながらの手法。
紙が薄いということもあり、風が吹くことで飛ばされてしまうという苦労も。
そんな中で、家田さんが考える、美濃手漉き和紙の面白さとは?

「紙すきの新しい技法を開発していくことで、紙単体の表現が広がっていくところですね。」

和紙の薄さが命。100%天然素材を使用した「水うちわ」

デザイナーの内田繁さんと共に開発された提灯「地球儀提灯 Globe」。

デザインタイドトーキョー2009に出展された、「HIROCOLEDGE」の高橋理子さんデザインの鳩時計。
「家田紙工株式会社」の和紙が使用されています。とても貴重な逸品です。

美濃手漉き和紙がアートな空間を演出する商品「SNOWFLAKE」を開発

美しい結晶の文様が空間を華やかに演出。「家田紙工株式会社」の定番商品「SNOWFLAKE」。

さまざまな企画製品を製造していく中で、”和紙の中に和紙の模様を作る”という技法の元生まれたのが、
現在「家田紙工株式会社」の定番商品となっている「SNOWFLAKE(スノーフレーク)」です。
紙を漉く行程で、紙の厚みを部分的に変えることにより模様が見えるという仕組み。
美濃の楮と那須の楮を掛け合わせ、
これにより独特のフェルトのような質感を出すことができるのだそうです。
現在はさらに表現の技術・自由度が発展し、キャラクターなどのモチーフの展開もスタートさせています。

「SNOWFLAKE」は、水でガラス等に簡単に貼ることができ、
さらに手で簡単に剥がすことができるのが特徴。また何度も貼り直しすることも可能です。
お店のウインドウディスプレイの演出として、また自宅の窓ガラスなどにデコレーションするなど
「美濃手漉き和紙」の美しさを楽しむことができます。

「昔は紙を水で貼るというのは一般的なことでしたが、
現代の日本の若い方や海外の方たちは知らない事がほとんど。
そういった意味ではサプライズ的な効果もありますね。とても好評をいただいています。
特に夜の室内から、『SNOWFLAKE』が光を浴びて輝く姿は美しいですよ。」

実は海外に美濃和紙を広める為に考えられたという「SNOWFLAKE」。
ロシアの展示会やフランスの展示会「メゾン・エ・オブジェ」にも出品されています。

「『美濃手漉き和紙』を残して行くために、もっとグローバルに広く使って頂こうと。
『美濃手漉き和紙』として存在できる市場が確保できると考えました。
また『SNOWFLAKE』などの海外向け製品を国内でも受け入れる層を作れないかと考えているところです。
美濃という土地、そして『美濃手漉き和紙』を、広く世界に知ってもらえれば嬉しいですね。」

「家田紙工株式会社」の商品コンセプトは、「ライフイズ和紙」。
和紙がある生活環境が少なくなってきている現代に
「昔とは同じ状態にならなくても、日本人の生活に別の形でも使ってもらえるシーンが作りたい」と
広い視野で市場を見つめ、「美濃手漉き和紙」の魅力を最大限に引き出すことに全力をそそぐ家田さん。
日本、そして世界への挑戦への意欲が尽きることはなさそうです。

「SNOWFLAKE」を手に一枚!「家田紙工株式会社」代表の家田学さん。

編集員のココがオススメ!

kanbeyuka_150 お伺いした「家田紙工株式会社」の窓ガラスには「SNOWFLAKE」を始めとした「a piece of natural paper」シリーズがずらり。太陽の光を浴びて透き通る和紙の姿に心が癒されました。国内でもさまざまなショップで使用されているとのこと、「家田紙工株式会社」のホームページで紹介されていますので、チェックしてみてください。贈答用に「SNOWFLAKE」のSサイズが22枚揃ったギフトボックスも販売されています。大切な方へのプレゼントに最適です。商品はオンラインショップにて購入可能です。

(神戸夕香)

店舗情報

会社名 家田紙工株式会社
住所 〒500-8023 岐阜市今町3丁目6番地
TEL/FAX TEL:058-262-0520(代)
FAX:058-262-0519
URL 家田紙工株式会社
1/100 Brand |(オンラインストア)

2011年2月16日現在の情報になります。



 

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