大台町最後の取材は、
築140年余りの古民家(坂本龍馬の暗殺は1867年、今から143年前)をご自分で改装し、
手づくり工房・ギャラリー・コーヒーを始められた谷藤重美さんです。
お店の名前は「ギャラリー奥伊勢」。
経歴も珍しいと伺っていたのですが、さて、どのような方なのでしょうか。
店内へ入ると、谷藤さんの作品であるいすやテーブル、鉢や傘立て、そのほか小物がたくさん。
丸みを帯びた柔らかなデザインで、全体的に素材の色そのままの色調が多いようです。
材料は地元のスギを中心にヒノキが加わり、
原木の形を活かし長く使ってもらえる木工が、谷藤さんの特徴です。
外に出て作業小屋へ。真夏の太陽は大台の山々に隠れ始め、幾分しのぎ易くなっていました。
作成途中のいすが置かれた作業机の周りには、小径木の丸太が壁に立て掛けられ、
道具も整理されて結構すっきりしています。
小屋の一角に古い建具やタンス・・・
「10年も木工をやっていると、理解されて(こういった素材が)自然と集まってくる」のだそうで、
谷藤さんにとってはこれも使い道のある貴重な材料。
「長く使われて付いたこの模様は、塗料じゃ付けられないでしょう。もったいない」とも。
谷藤さんに勧められるがまま、2階も上がってみました。
40人ほど入れるこのスペースで大正琴や三味線、
あるいはバイオリンのコンサートを開いた事があるとのこと。
隅にある畳3畳ほどのスペースには、昭和の道具が飾られています。
ここを開く前は、物流システムの構築に携わるなど、
システムエンジニアとしてご活躍されていた谷藤さん。何故また全く違う畑を歩むことに?
「自分の手で作ったものを、長く使ってもらえるもの作りをしたい」と考え、
前職を辞めお店を始めたのが57歳。それまでは、時間をかけて店開きの準備をしていました。
この古民家は、移り住めるような家探し中、国道から空き家に見えたため持ち主に聞いてみたところ、
空いているので使って下さいと了解を頂き、住んでギャラリーが開けるよう改装したそうです。
谷藤さんの奥様は、木工で出るスギやヒノキの皮などを原料に、染色もしています。でもギャラリー奥伊勢プロジェクトは、ご家族としても一大決心が必要ではありませんでしたか?とお聞きすると、「主人は器用な人だから、何とかなるだろうと思った」とのお返事。最後に、この後20年30年と続けられそうですか?の問いには、「ハイもちろん、大丈夫でしょう」。
(小穴久仁・倉田和己)
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場所 | 大台町観光協会 |
住所 | 〒519-2404 三重県多気郡大台町佐原663-1 |
TEL/FAX |
Tel:0598-84-1050 Fax:0598-84-1051 |
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2010年9月21日現在の情報になります。